自分の土地に勝手に知らない人が住んでいる、と聞くと、そんなことがあるはずがないと思われるかもしれません。しかし日本では、亡くなられた方の相続の処理がされずに長い時間が経過して、何が誰の物なのかがよく分からなくなっていることは、往々にしてあります。税金などの請求や、土地の隣人からの苦情、その土地を買いたい人からの連絡などによって、自分が相続していたことに気づき、現地を確認してみたら、誰かが住んでいるということが判明するのです。
そのようなときにはどうすればよいのでしょうか。
まずは、現在住んでいるのが誰なのかをはっきりさせないといけません。
赤の他人が住んでいるということももちろん無いとはいえませんが、個人的には面識の無い相手だったとしても、もともとその土地の持ち主だった父や祖父の知り合いであったり、その相続人など、何らかのつながりがあるのが通常でしょう。
そうであれば、なぜそこに住んでいるのかを確認して、土地自体を買い取ってもらう、退去してもらう、賃料をもらうなど、話し合いで解決できる可能性もあります。
しかし、相手がそもそも赤の他人だったり、話し合いでの解決を拒否することも考えられます。
そのようなときには、裁判によって、自分の土地から出て行くよう求めていくことになるわけですが、その時にまず注意しなければならないのが時効です。住んでいる相手が、自分の物だと思っていれば、他人の財産と知らないことに過失がない場合には10年、知らないことに過失がある場合には20年占有が継続すれば、その土地は相手の物になっていしまう危険があります。
また、時効になっていなくても、自分の土地に他人が住んでいることを知ったあとも放置していたりすると、使うことを承諾したと言われてしまう危険もあります。
相続があった場合には、早めに遺産についての協議を進めることがトラブルを防止することにつながります。
不動産トラブルや相続の協議についても、お気軽にご相談ください。
執筆者:山下江法律事務所 弁護士 小林 幹大